
キャリア(career)という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
キャリアは一般的に使われるようになった言葉ですが、その意味の捉え方が人によって異なる言葉でもあります。
そこで今回は、自分らしい仕事を見つける上でも知っておいてほしい、キャリアの意味や考え方について紹介します。
キャリアの考え方
「キャリア(career)」とは何ですか?
と質問をされると、仕事、職歴、経歴などと答える人が多いと思います。
たしかにキャリアには、仕事や経歴なども含みますが、それはキャリアの一部分の話です。
キャリアの重要な考え方は、キャリアは仕事も含めた人生そのものを表す概念である、ということです。
仕事を中心としたキャリアのことを「ワーク・キャリア」といいます。
そして、そのワーク・キャリアも含めた人生そのものを表すキャリアを「ライフ・キャリア」といいます。
つまり、ワーク・キャリアは、ライフ・キャリアの一部分ということです。

自分のキャリアについて考えるということは、仕事だけでなく、自分の生き方そのものを考えることを意味します。
そう考えると、自分らしい仕事を見つけて実現することは、自分らしく輝く人生を実現することにつながっているとイメージできると思います。
キャリアの定義
キャリアの基本的な考え方を知ったところで、もう少し詳しくキャリアについて見ていきます。
キャリアの定義については、さまざまなところで示されていますが、まずは有名なところで厚生労働省のキャリアの定義です。
●「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すもの
(引用)平成14年7月、厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書
ちょっと固い文章ですが、端的にキャリアを表している定義です。
次に、キャリアの理論家として有名なホール(Hall,D.T.)のキャリアの定義についても紹介します。
● キャリアとは成功や失敗を意味するのではなく、「早い」昇進や「遅い」昇進を意味するものでもない。
● キャリアにおける成功や失敗はキャリアを歩んでいる本人によって評価されるのであって、研究者・雇用主・配偶者・友人といった他者によって評価されるわけではない。
● キャリアは行動と態度から構成されており、キャリアを捉える際には、主観的なキャリアと客観的なキャリア双方を考慮する必要がある。
● キャリアとはプロセスであり、仕事に関する経験の連続である。
(引用)「新版キャリアの心理学」 渡辺三枝子 編著 ナカニシヤ出版
今回はこのホールのキャリアの定義を使って、キャリアを考える際に大切にしたい3つのことを解説します。
キャリアを考える際に大切にしたい3つのこと
自分らしいキャリアを考える際に大切にしたい3つのことは次のとおりです。
キャリアは自分が成功と思えるキャリアを自分で創っていくもの
キャリアは自分のものであり、自分が成功と思えるキャリアを自分で創っていくものです。
他の誰かと比べるものではありません
昇進が早いか遅いかも関係ありません。
自分自身が成功だと思える「自分らしいキャリア」とは何かを明確にして、それを実現するために行動していくことが重要になります。
個人のニーズと組織のニーズの両方を考慮する
多くの人は長いキャリアにおいて、どこかの組織に所属して仕事をします。
会社員や公務員はもちろん、経営者は自分の会社に属しますし、フリーランスであっても仕事をもらう会社などの組織と関係を構築して仕事をします。
そうなると、上記のとおりキャリアは個人のものではありますが、だからといって個人のニーズだけを押し通してしまうと、組織で仕事をすることは難しくなります。
本人が実現したいことという「個人のニーズ」と、組織が期待していることという「組織のニーズ」の両方を考えて、その両方の折り合いがつく部分で仕事をしていくことが必要になります。
これは組織でキャリアを形成していく上では、外せない考え方です。
キャリアは積み重ね
キャリアは、過去⇒現在⇒未来へとつながるプロセスであり、積み重ねていくものです。
過去の行動が今の自分を作っています。
無駄な経験など一つもなく、すべて今の自分の糧になっています。
そして、今の自分の行動が未来を作っていきます。
今の努力は未来の力になりますし、今の怠惰は未来の後悔につながります。
キャリアは、目の前の「今」だけを見るのではなく、過去の自分を振り返り、未来のありたい姿を明確にした上で、「今」何をすべきかを考えていくことの積み重ねになります。
まとめ
✔ キャリアとは、仕事も含めた人生そのものを表す概念
✔ 自分のキャリアについて考えるということは、仕事だけでなく、自分の生き方そのものを考えること
✔ キャリアを考える際に大切にしたいことは次の3つ
・キャリアは自分が成功と思えるキャリアを自分で創っていくもの
・個人のニーズと組織のニーズの両方を考慮する
・キャリアは積み重ね。過去の行動が今の自分を作り、今の自分の行動が未来を作っていく
